世界四大医学は共通して体だけでなく心と魂のレベルへのホリスティックなアプローチ法を有しています。
それぞれの医学では宇宙と人体は同じ構成要素からなると考えられており、自然界に存在する生薬(動物、鉱物、植物)を使って治療を行います。
ここでは代表的な伝統医療、中国伝統医学、インド伝統医学(アーユルヴェーダ)、ユナニ医学(アラブ・イスラムの伝統医学)、チベット医学についてご紹介します。
Contents
中国伝統医学
起源は神話時代にも遡ります。
万物は木・火・土・金・水の5種類の元素で校正されるという五行思想がベースであり、その思想は、韓国やモンゴル、ベトナムなどのセラピーに影響を与えました。
心身一体を重んじた傷寒論に基づいており、陰陽五行や五臓六腑、経絡、経穴などがあります。
一つ一つの器官は独立して機能しているのではなく、経絡と言うネットワークによりすべて関連しあっているという考えです。
アプローチ法は、鍼・灸・按摩療法、食事療法、湯液を用いた薬物療法(漢方)など、さまざま。
アジアに伝わる伝統療法の中で異色な部分が多いのは、古代中国人が遊牧民族だったことに対し、その他への国々は農耕民族だったという、生活様式の違いよるものだと考えられています。
韓医学、漢方医学
インド伝統医学 アーユルヴェーダ
インドで生まれたアーユルヴェーダは、5000年以上も昔から受け継がれてきた伝承医学で「よりよく生きる」ことを目的としています。
アーユル=人生、生命
ヴェーダ=科学、真理
サンスクリット語で「生命の科学」を意味し、その治療は、病気を診るのではなく人を診ます。
アーユルヴェーダの医師が患者にする最初の質問は、「あなたはどんな病気ですか」ではなく、「あなたの体質はどんな体質か」です。
治療は個人個人のオーダーメイドで、万物を「空」「風」「火」「水」「地」の5つの元素で捉え、体内の不用なものをデトックスすることで健康へと導きます。
治療ではごま油やココナッツオイル、動物性の材料で作られた特別な油など、オイルを頻用するのが特徴です。
生と死の輪廻に関する知識もあり、宗教や哲学、物理学までの内容を有する壮大な医哲学大系を構成しています。
アーユルヴェーダは体から魂までをケアする壮大な体系と言えるでしょう。
タイ医学、インドネシア伝統医薬(ジャムウ)、チベット医学の起源
アラブ・イスラムの伝統医学 ユナニ医学
ユナニ医学とはギリシャ風の医学という意味で、アラブ民族の世界支配とともに九世紀から十五世紀にわたり西欧諸国の標準医療として重んじられていました。
体液病理学として粘液、血液、黄胆汁、黒胆汁の四体液を正常化すると疾病の治癒が可能であると考える『四体液説』に基づいた病理観が基本です。
体液にはそれぞれ性質があり、血液は熱性・湿性、粘液は冷性・湿性、黄胆汁は熱性・乾性、黒胆汁は冷性・乾性とされています。
治療法は、四体液説に沿った薬草の複合処方、瀉血療法、マッサージが特徴的です。
ギリシャ医学、エジプト医学、ペルシャ医学、イスラム教を起源、植物療法、さらにはホメオパシー、クナイプ療法へと発展
チベット医学
インド伝統医学+中国伝統医学+ペルシャ医学が統合された新しい伝統医学です。
中国医学、ユナニ医学などの知識も加えた医典『ギュ・シ(四部医典)』、それを学習の助けにするため薬草や人体の構造を紙に図解した「四部医典タンカ」があります。
チベット医学では、病気をまず根本原因の観点から定義し、心を乱す三つの毒「貪欲、怒り、無知」がその根源だと説きます。
それを乗り越える手段は「菩提心」と呼ばれる慈悲の心であるとされ、自身の心に仏が備わっていることを悟り、 心の魔と向きあうために、ヨーガを根本治療としています。
また、チベット医は脈診が巧みなことで有名です。 熟練のチベット医なら左右の手首にある三種の脈を取るだけで、 体内で起きている現象をことごとく把握してしまいます。
チベット医は人智を超えた人体学をもった 人間学のスペシャリストなのです。